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自動倉庫とは

Smart logistics column

「人手不足」が深刻な物流倉庫では省人化に加え、商品数の増加に対応した省スペース化や、出荷効率の向上が求められています。 しかし従来の作業改善には限界があり「自動倉庫でのシステム化」を検討する企業が増えています。

当記事では、需要を増しつつある「自動倉庫」について、メリットから、導入の際の注意点まで、具体的に解説いたします。

また具体的な製品も例に挙げ、「どのような自動倉庫システムがあるのか」といった「自動倉庫の種類」にも言及していきます。

自動倉庫とは

自動倉庫とは、保管(棚入れ)や仕分け、集荷(ピッキング)の作業を自動化した倉庫を指します。

英語では「Automated storage and retrieval system(略称:AS/RS)」と表記される通り、自動倉庫は「自動化された保管および検索システム」を指します。 平たく言うと、倉庫の自動化・システム化です。システムの導入によって、管理から実行に至るまで、倉庫内で人が行っていた様々な作業を、機械に置き換え自動化した倉庫が「自動倉庫」です。

物販系分野のBtoC-EC市場規模は、前年の10兆515億円から2兆1,818億円増加し、12兆2,333億円になりました*。コロナ禍で巣ごもり需要が増加しつつある現在、自動倉庫は増加する需要と人手不足への対応として、大きな注目を集めています。
*参考:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

作業内容と自動化の方法

やや抽象的なため、より具体的に「どのような作業」を「どうやって自動化するか」、その一例を解説します。

管理

倉庫管理システム(WMS)と統合し、倉庫の入出庫や在庫などを管理します。
バーコードの読み取りなどにより、品物の情報はリアルタイムで更新されます。

ピッキング

ピッキング業務もピッキングリストによる作業指示や記録、WMSと連携した管理まで、ピッキングシステムによって自動化されます。

自動化されていない従来型の倉庫では、人が目的の棚まで歩き、モノを運び処理をする必要がありますが、自動倉庫ではモノが人のところに来てくれるため、人に掛かる負荷を大きく減らすことが可能です。

ケース単位で品物を保管する自動倉庫や、棚単位で保管する自動倉庫システムによって、保管や出庫を行います。

平たく言うと自動倉庫システムは「機械的に動作する荷棚」と「その運用・管理ソフトウェア」によって品物を空き棚に保管し、必要なタイミングで取り出すという作業全体や、その一部を自動化します。

例えば、倉庫から品物を取り出す(ピッキングする)際には、棚やケースを荷棚から人が待つ場所に移動させる、というように、機械が人間の仕事を代替します。

運搬

運搬業務は無人フォークリフトやコンベア、搬送ロボットと連携して行うことが可能です。

ここまでのまとめ

「自動倉庫(AS/RS)」とは、保管(棚入れ)や仕分け、集荷(ピッキング)の作業を自動化した倉庫のことです。
自動倉庫は個々のマシンやロボット、ソフトウェアではなく、それらを用いて倉庫全体を自動化するシステム全体を指します。

自動倉庫を導入するメリット

自動倉庫の導入には様々なメリットがあります。

省スペース化

高さ方向を有効に利用した空間活用や、ラックの密集による空きスペース削減など、スペースを最大限に活用し、省スペース化が可能です。
保管スペースの最適化によって「空きスペース」が生まれるケースもあります。空いた空間に生産ラインを組み込み、売上・利益を増やすことができた、といった事例もあり、限られた空間を上手に使うことで、新しい価値を生み出すことも可能です。

管理の統一/俗人化の解消

倉庫管理システム(WMS)との連携によって、入出庫や在庫管理を一元化できます。
これによって「あの人しか品物の場所を知らない」といった俗人化されている業務を減らし、スムーズに業務を進めることができます。

自動倉庫システムの導入によって「何がどこにあるかシステムが知っている」状態へと変わります。 それにより個人への依存を減らすことができます。

ピッキングの効率化

作業者の元に品物を届ける自動倉庫システム

自動倉庫システムの中には、棚が移動する形式のものや、品物をピッキング作業者のもとまで届ける形式の製品もあり、作業者の歩数を減らしたり、定点ピッキングが可能になります。

ピッキングを効率化する自動倉庫システムを導入することで、ピッキング量の増大に対応できます。

また誤ピッキングを防止する機能が備わっている自動倉庫システムもあるため、ピッキング作業におけるミスを抑制することもできます。

自動倉庫を導入する際の注意点

自動倉庫のデメリットとして挙げられるのが下記の2つです。

  • コストが掛かる
  • システムトラブル時に業務が止まる可能性がある

導入時に大きなコストが掛かる点やシステムトラブルは導入前の不安要素といえますが、これらは導入前に、いくつかの注意を払っておくことで対応することができます。

費用対効果の見極め

多くのメリットがある自動倉庫ですが、導入時に一定のコストが掛かることは避けられません。
とはいえ「費用対効果」は高いと言われています。
そのため、導入前には費用対効果の見極めを行うと良いでしょう。

また導入によって「どのようなメリットがあるのか」、「削減できるコストは何か」を具体的に考えてみるというのも一つの方法です。

人件費の削減はもちろん、人に付随する多種多様なコストを考えると、導入すべきと判断されるケースが多いのも事実です。

採用が難しい物流人材の採用工数、新人が業務に慣れて十分な生産性を上げられるようになるまでの多重に掛かる人件費とその教育コスト、誤ピッキングによる誤配送時の緊急対応と顧客への信頼の喪失、そして育成した物流人材の退職に伴うロス等、物流現場はコントロールが難しい要因に溢れています。

省スペース化によって生み出される新たな利益の考慮、他作業コストの観点といった複合的な観点から、導入を検討するとコストとのバランスを踏まえた、最適な自動化が実現できます。

対応マニュアルの準備

「トラブルへの備え」として、対応マニュアルを用意しておく必要があります。

トラブル時の対応手段が用意されているケースも

機器によっては、トラブル時のモード切り替えや、品物を取り出す方法が、用意されている場合があります。
小規模、中規模の自動倉庫システムは、既にかなりの台数が世界中で導入されているため、トラブル時の対応手段は用意されていることが一般的です。

自動倉庫システムを選定する際には、この辺りに着目して担当者に確認を取ると良いでしょう。

自動倉庫の種類

自動倉庫の種類について、その概要と具体例を見ていきます。

概要

自動倉庫は、その保管方法や機械的動作によって、大まかに次のように分類されます。

パレット型パレット単位で保管する自動倉庫。高層ラックによって高さ方向の空間を有効活用しつつ、クレーン等で品物を入出庫する。
バケット型品物をバケットに入れて棚に保管する自動倉庫。製品の形状が一定でない場合に有効。
移動棚(移動ラック)品物を乗せた棚が移動する自動倉庫。棚それ自体の移動によって、品物を作業者の元に届けたり、通路スペースを確保することもできる。
縦型式回転棚棚が縦型に回転する自動倉庫。パレット型に比べ、小・中規模のものが多く、小さなスペースで高さ空間を活用したいケースで用いられる。

具体例

ここからは製品を例に挙げながら「どのような自動倉庫システムがあるのか」を、具体的に解説していきます。ご紹介するのは、自動倉庫のリーディングカンパニーであるKARDEX社の自動倉庫です。

少ない面積をフル活用する縦に長い「シャトル式」

シャトル式は、高度に自動化された縦型リフト式自動倉庫です。
縦型リフト式自動倉庫は、高さ方向の空間を最大限活用できるため、小さな面積での高密度収納に適しています。シャトル式の場合、次のようなメリットがあります。

高密度収納が可能棚に載せた物の高さをセンサーで検知し、自動で棚の間隔を最適化します。
高速ピッキング作業が可能必要な棚がピッキング者の元に順次高速で届き、取り出すことができます。

シャトル式であれば、高さ方向の活用に加え、高密度収納とピッキング作業の効率化を実現します。

小規模導入に最適な「縦型回転式」

棚が縦方向に回転します。高さ方向の空間を有効活用します。 加えて、多機能な縦型回転式の自動倉庫であれば、ピッキング作業者の負担を減らし、誤ピッキングを抑制する様々な機能がついています。

位置インジケーター

LED表示器

中規模空間を最大限に活用する「水平回転の移動棚」

水平回転(横に回転する)移動棚では、高密度に収納した棚を載せたキャリアが横方向に回転し、作業者の元に届きます。縦に重ね、多階層で用いることも可能です。

ピッキングを最適化する
「垂直モジュール式」

品物をバケットに入れて棚に保管する「バケット型」の自動倉庫と同じく、「ケース」に収める自動倉庫です。
ケース単位での保管のみならず、ピッキング作業者の元にケースが自動で届きます。

特殊な品物の補完に対応する形式のものも

その性質や形状などが「特殊な品物」の保存に優れている自動倉庫システムがあります。
例えば、食品や薬品など、冷蔵・冷凍保存が求められるケースもあり、これに対応する製品が該当します。

また通常の自動倉庫システムでは耐え切れない重量物や、長物やロール状の保管に対応可能な自動倉庫システムもあります。

自動倉庫の導入を検討する場合、どうしたら良い?

自動倉庫は導入先の面積や、収納する品物によって適切な仕様・構成が変わります。
当社(アルテック株式会社)にご相談いただければ、現状を確認した上でご提案可能です。

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