自動倉庫の選び方
Smart logistics column自動倉庫製品には様々な種類があります。
当ページでは、自動倉庫システムを選ぶ際のポイントや考え方をお伝えしていきます。
まずは保管対象物の「サイズ/重さ」「事業の特性」を
整理する
保管対象物が何であるかという軸で整理し、最適な自動倉庫を考えます。
サイズと重さを整理する
まず注目すべきは
「最大サイズ」です。
自動倉庫システムにはそれぞれ収納物の最大サイズ制限があり、それを超えるものは入らないので扱えません。縦・横・高さにおいて、収納したいモノの最大サイズを把握しておきましょう。
もちろん、一部極端な例外があってそれは自動倉庫システムの中に収めないということであれば、例外処理も可能です。ですがそれでは自動倉庫システムを用いることのメリットが減少してしまうため、可能な限り取り扱う品物のサイズに対応する自動倉庫システムを候補とするのが良いでしょう。
自動倉庫システムでは、標準仕様で横幅4m程度のものまで収納できる製品が存在します。
それ以上のものであれば、カスタムでお客様のご要望に合わせて対応可能なため、パイプや鋼板などの長物を自動倉庫システムで管理可能です。
次に、
サイズのバラツキが大きいか否か
- ある程度の種類はあるもののサイズは似通っており一定の範囲内に収まるモノを収納する場合
- 小さなモノを保管する棚もあれば、両手で抱えて持ち上げる大きなサイズのモノを保管する棚もあるような、サイズにバラツキがある場合
それによって最適な自動倉庫システムは異なります。
次に重要なことが「重さ」です。
自動倉庫システムでは、自動倉庫製品により収納できるモノの耐荷重が種類・方式・機種によって大きく異なります。
軽量物に適した機種では、金型や治具・工具など重量のあるものを保管することには向きません。
例えば横幅1m弱の軽量のラックで構成された回転棚式の自動倉庫システムでは、1棚あたりの耐荷重は90kg以下と、あまり高くありません。
一方で、一棚あたりの耐荷重が1,000kgという、高負荷に余裕で耐える標準品の自動倉庫システムも存在します。これであれば重い金型や原材料、金属製品などの重量物の自動倉庫利用も可能です。
また、1t以上のものであっても、カスタム品であればかなりの重量まで対応可能です。
鋼板や巨大な産業用資材のロールといった重量物を自動倉庫システムで管理することで、入出庫の際の取り回しという危険な作業を人の手から解放することも可能です。
事業の特性を整理する
取り扱う品物が頻繁に変わるか、
安定しているか
例えばネットショップでは、季節により売れ筋が異なるということがあるでしょう。
棚の商品の一部又は多くを年数回入替える、かつサイズにバラツキがあるという場合、自動倉庫の収納効率を気にする必要があるかもしれません。
自動倉庫の収納効率とは
単位空間あたり、どれだけ隙間無く収納できるかという空間の活用効率を指します。
ほとんどのケースにおいて倉庫の面積は固定であり、建物を改修し土地を拡げることは難しいことから、収納効率は重要な指標です。
収納効率を高めるために自動倉庫が行なうこととして「品物のサイズ毎に最適な箇所に収納する」という収納位置の最適化機能と、「棚の高さを安全性が確保できるギリギリまで動的に縮める」という棚の高さの最適化があります。自動倉庫システムによって、これらはインテリジェントなシステムが自動的に最適解を導き出して処理されます。
自動倉庫システムによっては、この両方又は片方のみ最適化するものがあります。選ぶ観点の一つとして見ておくべきでしょう。
超高密度収納を可能にする自動倉庫Kardex Shuttle
ネットショップの倉庫など、ピッキングの速度(処理効率)/正確性を求められるか
自動倉庫導入の背景として物流人材不足がある場合、ピッキングの業務支援機能が重要です。
- より少ない人員でも、今と同等又は高速にピッキング作業を処理できるようにしたい
- 新人や倉庫業務未経験者の早期戦力化を図りたい
→このような要望がある場合、人の記憶力に頼ることなく、素早く、間違えずにピッキングできるようにする仕組みを備えている自動倉庫を選ぶ必要があります。
例えば、人が棚を探して歩くのではなく、ピッキングすべき棚が人のところにやってきて(Goods to Person)、棚の上のピッキング対象を光で指し示す、といった表示による支援機能があれば、ピッキング作業者は広い倉庫内を商品を探して歩き回るという時間と労力をカットでき、難しいことを何も考えずとも間違えずにピッキングすることができるでしょう。
同時に、横を見ればディスプレイに、ピッキング対象物の写真と数量が表示されていれば、誤ピッキングを避け自信を持って作業が可能なはずです。
メーカー・機種によって搭載されている機能が異なります。ピッキング作業者をいかに助ける(かんたんにする、楽にする)仕組みが得られるかという観点で選ぶことが大事です。
充実した表示機能を持つ
お勧めの自動倉庫メーカー Kardex
スペース(高さ/広さ)を
考慮する
自動倉庫システムを導入する上で重要な制約事項として、設置先の施設のスペースがあります。
新たに倉庫を立ち上げる場合は、弊社が建物の建設設計段階から関わっています。 その場合はお客様の業務に適した自動倉庫システム製品を、自動化の狙いを最大限活かせる構成でご提示し、他の様々な要件とすり合わせてスマート・インテリジェンスな物流倉庫づくりにご協力しています。
もちろん既存の倉庫や工場の一部やオフィスに自動倉庫システムを導入したいというケースもよくあります。そのようなシーンでは、導入先のスペースによる制約の中での最適解を見つけます。
高さについて考える
導入先の建物は、床から天井まで何メートルの高さがありますか?
巨大な自動倉庫では高さ30mに達するものも存在します。面積は貴重なため、天井までフルに活かせる方が収納効率が良いと言えます。場合によっては天井を突き抜け多階層に渡って1つの自動倉庫システムが建物内の物流を有機的に繋ぐ構成にする場合もあります。
最大高さ30mまで伸ばせる自動倉庫Kardex Shuttle
高さが確保できない場合は、最小高さ2.5mあれば自動倉庫は設置できます。そのように天井が低い場合は、縦方向ではなく横方向にスペースを使うタイプの自動倉庫システムが適合するでしょう。
低い天井でも利用可能な
自動倉庫(水平式回転棚)Horizontal Carousel
広さについて考える
水平方向の広さ、つまり導入先空間の「面積」について考えます。
水平方向の面積に余裕がない場合、縦方向の高密度収納を考えます。
超高密度収納を可能にする
縦型自動倉庫Kardex Shuttle
もし水平方向に余裕がある(=広い)のであれば、広い面積を活かした構成ができる機種を選ぶこともできますし、小型の機種を複数台横に並べてWMSで一元管理し、並列処理によりさらに効率を高められる機能を持った自動倉庫を選ぶという手もあります。
コストに影響するポイントと柔軟性を考える
品物のサイズや、設置するスペースを考慮することで、ある程度、御社に適した自動倉庫システムを絞り込めるでしょう。
それに加え、次の三つのポイントを考慮すると、よりメリットのある製品を選ぶことができます。
- 標準仕様でサイズが適合するか
- 標準仕様で欲しい機能が揃っているか
- 構成変更の容易さ
標準仕様でサイズが適合するか
導入コストを抑える上で重要です。
標準仕様でサイズ展開が細かくある自動倉庫システムの場合、高価格な特注仕様で発注することなく入手可能です。その差は数倍にも開きが生まれる場合があります。
標準仕様で欲しい機能が
揃っているか
二つ目のポイントは「機能」です。
多機能な自動倉庫システムの場合、業務を円滑化する機能を標準仕様として持っています。
人が作業する限り誤ピッキングというのは生じてしまうものですが、その発生を軽減する機能があると、正確性が高まるだけでなく、作業スピードも向上します。
構成変更の容易さ
三つ目のポイントは「構成変更の柔軟さ」です。 一度組んでしまったら移設できない、一度組んでしまったら拡張しにくく大きなコストが掛かるというのは避けたいはずです。
構成が柔軟に変更できる自動倉庫システムの場合、構内レイアウトの変更や倉庫移転などにも対応できるため、今の業務の最適化だけでなく長い目で見た場合のメリットが大きいと言えます。
ピッキング方式を考える
最適な自動倉庫選びだけでなく、最適なシステム運用を考えることも、自動倉庫選定においてとても重要です。
KARDEX社は自動倉庫だけでなく、KARDEX独自のシステム(Kardex Power Pick Systemシステム・Kardex JMIFシステム・Kardex Driveシステム)を提供しています。
ピッキングカートや、デジタルピッキング表示器等、自動倉庫システムと連携させてピッキング効率を大幅に向上させることができます。
お勧めの自動倉庫製品紹介
品物のサイズが類似している場合は「縦型回転式」がおすすめ
同じようなサイズの小物や部品を扱う場合は「縦型回転式」がマッチします。
縦型回転式とは、棚が縦方向に回転する形式の自動倉庫システムで、棚が移動することによって、所定の位置まで品物を届けます。
高い位置に保存した品物も簡単に取り出せることから、縦方向の空間を活用して収納できます。
収納物のサイズにばらつきがある場合は、高度に自動化されたKardex Shuttle
収納したいモノについて、
- サイズにばらつきがある
- シーズンごとに変化する
このような場合、Kardex Shuttleであれば自動で収納位置を最適化し、棚の高さまでも動的に最適化可能です。
棚に載せた品物の高さをセンサーで検知し、これによって自動で棚の間隔が最適化されるため、限られた収納スペースを最大限に活かした超高密度な収納が可能です。
過去の導入事例では、普通のラックと比べ、収納効率が50%~80%向上したというケースもあります。
様々なサイズ、⾼さの製品に対応でき、品物がシーズンごとに変化しても「どこに何を収納するのかを自動で最適化できる」ため、柔軟な収納が実現するリフト式モジュールの自動倉庫システムです。
1tを超えるような重量物、4mを超える長物ならオーダーメイド対応で
長物、ロール、重量物の場合、サイズや重さだけではなく、お客様の業務上の安全性や他の業務との連携性も十分に考慮した自動倉庫システムが求められます。
その場合はオーダーメイドが適しています。
オーダーメイドの場合、過去積み立てた豊富なオリジナル構築実績から、リフト型、カルーセル型など、御社のニーズに適合する自動倉庫システムを柔軟に構築できるため、業務への最適化が実現します。
天井高さが低い場合は「水平回転式」がおすすめ
高さが十分にない場合は、縦ではなく横に、つまり水平に回転する「水平回転式」の自動倉庫が適しています。
こちらの製品であれば、通常仕様で多彩なレイアウトが可能です。
出荷頻度が高いなら「高速処理の自動倉庫システム」がおすすめ
出荷頻度が高い場合、処理速度を考慮して選定する必要があります。
こちらの製品は、1時間あたり最大500行という高速処理が可能なため、出荷頻度が高いケースに適します。モジュール式であり拡張・構成変更が容易です。